オシムの次について勝手な意見

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いろんなことを考えなきゃいけない。それはもう当然だと思うんですよね。それでもなおかつこの人に託そうと思った時には、代わりに誰かが責任をとらなきゃいけないでしょう。それは自分だと思っています2007年アジアカップ直前の小野技術委員長の言葉 サッカー批評より

オシムの病状が回復してきたというニュースが小さくなり、注目は岡田武史日本代表監督に移っている。正式な発表は出ていないものの、ほぼ決定事項となっているようだ。
でも、僕はそういう現状をちょっと横に置いて勝手な論理を展開してみたい。
その前に、僕は岡田武史は日本人指導者の中では、かなり優秀だと思っている。もし仮にオシムで行った先には、次のワールドカップは日本人指導者で、という選択肢は当然あったはずだ。彼がその有力な候補者であることに変わりはない。
でもね、と僕は思う。
今、早々と「次」を決定することに不安がある。
緊急事態だとしてもオシム後は大きなクエスチョンマークのままだ。
皆さんはどうですか?
僕はあえてここで「小野剛暫定監督」という案で、妄想をしてみたい。
もちろん、強化委員長が自ら監督になるなんてことはありえない。組織としてもやってはいけない禁じ手だ。でも、この特殊な事態だから、あらゆる選択肢を考えたい。
ちょっと話がずれる。
僕のつたないシステムプロジェクトでの経験だ。
プロジェクトが佳境にさしかかると、突然予期せぬトラブルが発生する。そういうことは規模の大小にかかわらず、たいてい起こる。
そういう場面を乗り切るため、強力な指導力は欠かせないし、最後はプロジェクトマネージャが一人で決断をする。しかし、その決断までのプロセスはとても大事だ。
問題を誠実に明らかにして、主要メンバーを巻き込んであらゆる選択肢を議論する。
非現実的な案も出すし、「本当にそれって大事なことですか?」とあえてお客さんに聞いてどなられたりもする。
そうやってチームで(時にはチーム以外の人間もまじえて)考え尽くすと、不思議と活路が見い出せた。
「そんな手があったか」と妙手を見つけだすことも多くあったが、うまい手が見つからないこともあった。それでも皆で考えつくして危機を乗り切るプロセスは、チームの結束を一段高いレベルに引きあげた。そこに強いチームが出来上がっていた。
これからの日本代表の選択肢に、もっと他の手がないか、破天荒な案も含めて、メディアや世論を巻き込んで勝手な議論を展開させたらいい。
僕の案は、小野さんが暫定代表監督をやりながら、田嶋さんを中心に本格的な監督選びを進める。大事なのは、その間にサッカー協会とメディアやサッカーファン、サポーターがプロセスを共有することだ。本当の意味で日本を強くするために。
小野さんは、かつてフランスW杯で、岡田さんと一緒に厳しい予選を勝ち抜き、結果的にアシスタントコーチを務めた。小野さんのその経験は、貴重なものだ。
その後も日本代表を深く分析し、長期的な視野も持っている。
監督しての広島での采配も、一時2位にまでなり、天皇杯でもベスト4の経験がある。長いリーグを戦いぬける力はないにしても、決して低い評価ではないように思う。
アジアを甘く見てはいけない。もちろんそうだ。
しかし、それでも次の3次予選は、2位以内でも最終予選に進める。小野暫定監督でも日本の総合力をもってすれば、乗り切れる。反対意見もあるだろうが、僕はその可能性は高いと思う。

いろんなことを考えなきゃいけない。それはもう当然だと思うんですよね。それでもなおかつこの人に託そうと思った時には、代わりに誰かが責任をとらなきゃいけないでしょう。それは自分だと思っています

冒頭で引用したこの言葉は、オシムでアジアカップが満足いかない結果ならどうしますか、と問われて「オシムに託したいので、自分が代わりに責任を取る」といった言葉だ。
小野さんは、「サッカーの日本化」という車を押すのに、なみなみならぬ覚悟で取り組んだ人物の一人だ。
なぜ暫定監督を選ぶのか?
監督選びのために、ヨーロッパのシーズンオフを待ちたい、というのもある。交渉にはある程度時間も必要だ。どんな大物がフリーになるかわからない。
モウリーニョやフェリペのように、世界的に評価の高い人が見つかれば、それもよい。
祖母井さんの人脈だって、この際使っていいと思う。オシムの後継ぎのような外国人監督が見つかれば、小野さんからの引き継ぎもスムーズだろう。
もう一つは日本人指導者のカードを増やす時間がほしい。南アフリカの次(次の次かもしれないが)は日本人監督で、というのもある。その時、岡田というカードがあるかないかは大きい違いだ。
反町監督が北京で成果を残せば選択肢が一つ増える。
もし小野さんが暫定ながら、アジアをきれいに勝ち抜けば、彼も候補だ。
関塚か長谷川健太か、2010年には、Jリーグの日本人指導者がACLを勝ち抜く経験をしているかもしれない。
次の外国人監督のもとで井原が十分な経験を積めば、思い切ってそのカードも切れる。
日本人指導者の国際経験はまだまだ乏しい。
岡田武史を「今」選ぶことで、見えない大きなリスクがありそうに思う。
2010年までの間で、岡田監督がだめになったとき、次の手はかなりの冒険になってしまう。
いったいその時どうしますか?
そして最後に、今この時点でオシム後が「断層」になってしまうことに、大きな不安がある。今は結果以上にプロセスが大事かもしれない。そんな思いがある。
皆で一緒に日本代表という車を押す。その点でオシムの取り組みを引き継ぎ共有したい。
オシムは、わかりにくい言葉で、さまざまな選択肢を僕らに投じ続けた。キーワードを提示しながらも、答えを出すことをわざと避けてきたように思える。
僕らもオシムのワナにはまりながら、日本のサッカーについて考える日々を送ってきた。
オシムのサッカースタイルを引き継ぐことは誰にとっても難しい。次の監督にそのことを求めてはいけない。それは同意する。
しかし、オシムから何も引き継がないということではないように思う。
僕は「小野暫定監督案」だが、次が岡田武史日本代表監督になるとしても、日本のサッカーについて考えつくし、車を一緒に押す姿勢だけは引き継いでほしい。
オシムの次が、ただの断層になってしまってはやはり悲しい。

コメント

  1. オシム 岡田のニュース

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    オシムの欅

  2. より:

    現場から(しかもあのサッカー協会)に退いた気概のない人間が導けるものか!
    監督選考に慎重に時間をかけるべきなのは正論なんですが、
    あのサッカー協会は時間かけたらかけたで今度は持て余して会長がまた外国から安易な人材とか連れてくるのはミエミエです。哀しいけれど。
    そんな中で岡田はまあ妥当なのでは(ほめてない)。
    彼が駄目になったらそれこそ大熊。むしろ大熊だった方が後が無い。反町もアヤシイし。
    それって岡田新米監督と同じく未知数なだけなんですが、諦めがつくという事で。

  3. コメントありがとうございます。
    >そんな中で岡田はまあ妥当なのでは(ほめてない)。
    >彼が駄目になったらそれこそ大熊。むしろ大熊だっ
    >た方が後が無い。反町もアヤシイし。
    割と同意できてしまうところが悲しいです。
    現実はそうかも。
    でも、それじゃいかんだろう、、、、と思っていたいです。

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