「安心したら駄目。でも、今日の日本代表の試合終わった後のインタビューを見ると、誰もうかれたり、喜んだりしていなかった。だから大丈夫。彼らは、まだ終わっていないことをわかっている」
TBSブロードキャスター 6月4日(土曜日) 夜10時
ラモス瑠偉がゲスト出演 (引用したコメントは正確なものではありません。ごめんなさい)
このラモスのテレビでのコメントに、日本サッカーの歴史を感じた・・・
と、そういえば、大げさに聞こえるだろうか?
ドイツ・ワールドカップ アジア最終予選
第4戦 バーレーン対日本 0-1
小笠原のゴールで日本は勝利する。勝ち点を9にして2位。次の試合引き分け以上でワールドカップ出場が確定する。
翌日の夜、ラモスがTBSのブロードキャスターに出ていた。
その彼が、日本代表をべた褒めしていた。
日本代表を誉めるラモス、というのも、なんだか違和感を感じるが、でも、いい感じだった。
その姿を見て、12年以上前の、アメリカワールドカップの予選=ドーハの悲劇を思い出した。
ドーハの悲劇の直前の試合で、日本はカズのゴールで、宿敵韓国に1-0で勝利した。
そのとき、インタビューを受けたカズは涙を流していた。長年の宿敵韓国を破って、念願のワールドカップ出場に、もう一歩のところまできたのだ。
しかし、それにかぶさるように、インタビューには答えず、怒りを体から発散しまくっているラモスが映る。
「まだ、何も終わっちゃいないよ」
そう、何も韓国に勝利したからといって、アメリカワールドカップの出場が約束されたわけでもなんでもない。まだ、一試合ある・・・
そして、ロスタイムに、ドーハの悲劇が訪れる。
サッカーは最後まで、どうなるかはわからないのだ。
後から知ったのだが、ドーハの時の日本代表は、ロスタイムになってボールをキープする、ということもしなかった。だから、敵に渡ったボールがコーナーキックになってしまった。
計算高さも、ふてぶてしさも、ずるさもない、うぶな日本代表。
そういう私も、ほぼそれがはじめてのサッカー体験だったから、オフサイドも、ロングボールも知らなかったし、ましてやロスタイムの重要性なんて、まったく知らなかった。
そして、学んでしまった。
「ワールドカップに行けなかったのは歴史が足りなかったから」
そうカズは発言したが、それはとてもとても正しかった。
バーレーン戦の後の青い戦士のインタビューを見ていた。
そして、僕もラモスとまったく同じ感想を持った。
「こいつらは大丈夫だ」
非常に重要な一戦の勝利の後、しかし、誰も、安心したり、うかれたり、笑っているものは一人もいなかった。泣いているものももちろんいない。淡々と次のことを考えていた。
まだ、何も結果は出ていない。
その日本代表の表情を見て、韓国戦の後涙を見せたカズがオーバーラップする。
歴史が積み重なった・・・・と大げさでなく、僕はそう感じた。
後から知ったことだが、バーレーンサポーターは、後半途中ぐらいから、帰り始める人たちもたくさんいたらしい。信じられない。
1-0の試合である。ロスタイムまでは、結果がどうなるかは、まったくわからないじゃないか。
僕らはそのことを知っているが、彼らはまだそれを知らない。
ラモスは、もちろん、そのことを、子供のころから知っていた。ドーハの悲劇のずっと前から。
ラモスは、ビーチサッカーの監督として、奇跡を作り上げた。
ウルグアイ相手に、3-0から、4-3に逆転をした。
信じられない結果だが、それが起こりうることを、肌で知っている。
僕らのサッカーは、明らかに歴史を積み重ねた。うん、そうだな、と思った。
#それにしても、バーレーン戦を終えた後の、メディアの楽観ムードはどうだろう。もう、完全にワールドカップ行きが決まったような報道ぶりだ・・・・・
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