偉大な選手とは、すべてをパーフェクトにこなせる選手ではない。実際には、ある才能がとてつもなく大きければ、何かが確実に欠落しているケースがほとんどだ。(中略)ジダンを起用するなら、そのマイナス面は引き受けなければならない。一人一人、パーフェクトにバランスのとれた11人を集めることなど、しょせんは夢でしかない。アジアカップ&ユーロ2004超観戦記 西部謙司
欠落を理解したり評価したりできるのであれば、その人はかなりすごい、、、と言えるだろう。
「欠点の多い人間を選べるか? その子の長所を最大限、伸ばせるか?」
それは、選手を育てる役目にある指導者の優劣を決めるときの、とても大きな評価軸だ。
欠点を見つけ出すのは、とても簡単だ。これは、経験上、どんな素人にでもできる、とてもレベルの低い行為だ。「駄目だから直せ」「駄目だから埋めろ」
子供のサッカー指導の様子を見てきて、欠点を埋める方向に動く大人たちをたくさん見てきた。
そうすると、とてもわかりやすいことが起こる。欠点を埋めようとして、子供は慎重になる。自分の駄目な面だけに気持ちが行って「弱気」になり、首を傾げはじめる。
今まではつらつと武器を発揮していた子供の動きが慎重になり、駄目なところがうまくならないだけでなく、今までよかった面も見事に駄目になっていく。
本来は武器をさらに鋭利にするため、改善を施していくのだが、これがどうも難しいようだ。
改善を施すと、どうしても武器の鋭利な部分が削がれてしまうのだ。
武器の鋭利さを削がずに、改善ができる指導者・・・そこにはとても高いレベルが必要とされるようだ。
武器を持つチームが、欠点を部分的に埋めていくと、欠点を埋め終わった最後に弱いチームができる。
武器を持たず、戦術を忠実にこなすチームを作ったとき、そこには選手の輝きが不在になる。
多少の欠点を抱えていようとも、武器を伸ばせる指導者を求めたい。
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