記者:ハースがフィットしてきたように見えるが、何か指示は出したのか。
オシム監督 : 試合前に指示を与えるのは簡単だが、何か命令しているわけではない。私がいったことを選手がやってくれるのなら、毎回「2点を取ってこい」というよ。Jリーグ第3節 ジェフ対ヴェルディ 2-2 オシム監督のコメント
数年前、これと同じセリフを聞いたことがある。。。あるサッカー少年クラブのコーチが言った言葉と似ているようだ・・・・
この日のジェフとヴェルディのゲームを見たわけではないが、相当に面白い試合だったようだ。
オシムもゲームを振り返って次のように言っている。
両チームの中で心臓の悪いサポーターがいたら、こういう試合には来ないほうがいいだろう。ただ、いいサッカーを見たい人にとっては、今日のようなゲームはよかっただろうね。
こういうなんでもない日常の試合にも、神様が仕組んだような波乱に満ちたゲームがあるのが、サッカーらしい。
さて、取り上げたのは、試合後の記者会見のオシムの談話だ。
私がいったことを選手がやってくれるのなら、毎回、「2点を取ってこい」というよ。
僕は、これと似たようなセリフを聞いたことがある。
多分、どこかの親が、もっとコーチにうるさく指示を出してほしい、みたいなことを、不満そうに言ったのに対してコーチが答えた場面だった。
子供のチームが試合に負け続けていたから、その親はいらいらしていたのかもしれない。
「子供に指示をしても駄目ですよ。うまくなれって言ってうまくなる子はいませんからね」
その少年サッカーのコーチは、やんわりと笑って答えた。
そのコーチが作って、親たちに配るプリントには、印象的な言葉が掲載されている。
「子供のプレイがうまくなかったり、サッカーに迷っているような時期があったとしても、親たちが口うるさく言わないで、見守ってあげてください。子供たちは、そうやって自分で悩みながら成長していくのです」
あまり正確ではないけれど、つまり、子供は、自分で考えて行動しはじめれば、しっかりと成長します。悩んでいるのは、そのためなのです、、、
というような趣旨のことが書かれていた。
「勝つために指示通りに動く少年チームからは、選手が育たない」ということを、やがて私もその少年サッカーのコーチから学ぶことになる。
オシムも、その少年サッカーコーチも、指示を出していないわけではない。指示を出すのは簡単だが・・とオシムも言っている。
問題は、その後、選手が自分自身で気づくか、気づいてどう成長するか、脱皮するか、変わっていくか、それをしっかりと見守る辛抱強さが監督には大切だ、と、もちろん、そこまでは言っていないけれど、オシムの言葉は、そのように響いた。
オシム監督は、もちろん、ワールドカップベスト8の栄光を持つ優秀な代表監督であるし、現にジェフは脆弱な薄い選手層ながら、それでもJのトップクラスにいる。
世界的な名監督らしい。
だが、彼はどちらかと言えば、若手の育成に力を発揮するタイプなのだろう。今シーズンも、オシムに引き上げられた名も無い若手たちが、存分に力を発揮している。
彼の下でプレイできているジェフの若手は、幸せなのではないか、と思う。
そうそう、オシムの言葉でこんなのもあった。新しく入団する選手の親に対して言った言葉だ。
「あなたは、息子さんを 最後まであきらめずに走る子供 に育てましたか?
もしそうでなければ期待をしない方がいいでしょう。もしそうなら、私が責任を持って育てます。」
コメント
『オシムの言葉』
必読書と言っても良い書籍。それが、『オシムの言葉-フィールドの向こうに人生が見え
オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える 木村 元彦 (著)
オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える 木村 元彦 (著) Jリーグ屈指の美しい攻撃サッカーはいかにして生まれたのか。ジェフ千葉を支えた名将が、秀抜…
TBさせていただきました。
オシムジャパン、たのしみですね・・・。
屈指の名将の半生 木村元彦著「オシムの言葉」
サッカー、日本代表の新監督、イビチャ・オシム。
突如注目され始めたこの人物。昨年、出版されたこの人を取材した本も注目され、ベストセラーになりました。
と…
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